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生徒さんの演奏が円熟していくプロセスで大切にしていること


「曲」という名作の広い懐…
作品のなかに含まれる
美しさや輝き 悲しみ 憂い よろこびなどに
自らのすべてを重ね合わせて
投じます。

読み込み 弾き深めていくに従って
具体的に聴こえる音となって
姿を表してきます。

その曲に含有されているものが
表されてくる演奏の「とき」は
ひとりひとり、タイミングがあります。

その「とき」を
たとえ先生であっても
あまり早めてはならない
また、遅めてもならない
と思うのです。


生徒さんの内側で演奏が形成されている じかん。

その時間は
生徒さんにとって「形成するという」悦びがあるのです。
聴こえる音として形成されていくプロセスは、
生徒さん自らの全人格が関与している

「いのち」しごと ではないでしょうか。

先生側のプランを捨て、その生徒さんの「とき」が満ちていくのを
すっかり音楽に委ね、
ただ ともによろこび響きあっていくことに徹するとき、
生徒さんはピアノを越えて
音をとおして 
自らの内側を見つめ、
自分を越える「愛」に出逢う。
それは生徒さんの生涯の生きる力となる
と私は信じています。