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新しい決心


眩しい ひかりが
力強く注がれる日曜日。

あたたかくなるとの予報だったが
朝のプティとのウオーキングは
風が強く 冷たく
セーターとマフラーでは。



ジャケットを取りに戻った。

プティにも 
ダウンを着せた。




プティの時間。


おしりフリフリ
わたしを先導する。

ちらっちらっと
振り向き

まるで

「僕についておいで!
    少し早足だけど、
    風きって ついてきて!。」

そう話しているようで
クスッと笑った。



と、森に
プティの大好きな 
まるで 犬になりきって
大歓迎してくれる
お姉ちゃん達がいた。

わたしより少し
歳上のお姉ちゃん達。


「みつけたよお〜」

グイグイ引っ張る。




「あいたかったよ。
    あのね、話したいこと
    沢山溜まっていたんだ、僕。」

お姉ちゃんの
実況中継つきの情景に
笑いがとまらない。



お姉ちゃんの顔を覗き込んで 
しっぽは
ちぎれんばかりの
速い振り子になる。



彼にとって
外の世界は

家で大半眠る時の
絵本であり、
こもりうた なのだろう。



まるでダンスするように
お姉さん達と
その飼い犬2匹と
じゃれあう。

お相撲をとりはじめた。

10歳を雄に超えた甲斐犬は
6歳のプティに 悠然と胸を貸す。


前足同士で抱きあい
掴みあう姿に、

彼の よろこびが
わたしにまで響いてくる。




帰宅して
プティの足を洗い 
あたたかい紅茶を持ち
ピアノへと向かう。



ショパンのエチュードを数曲続けて
弾く。

ベートーヴェンのテンペストを弾く。

シューマンのソナタを弾く。


新しい決心



改めて
この冬から
決心した。



生徒さんが弾いている曲を
私も弾いていく。 



かつて 弾いた記憶で
教えるのではなく


今尚新しい 曲であるように。





育ってきた生徒さん達の曲は、

弾いて聴かせてあげなければ
深みまで伝わらない。





間の取り方や
旋律の感じ方。
ハーモニーの移り変わり。


しかも
私、こんな事を言ったものだから。



「先生が弾いたことない曲でも
   あなたが弾きたいものを始めていい!
   先生も練習して しっかり導くから。」




すると
ポツリ ポツリ
何人もが
言葉どおりに 
わたしの「初めまして」
はじめてしまった。






弾けずに教えられない!


やるしかない! 



しかし
はじめてみれば 
なんと 素晴らしい世界であるか!



たちまち 曲に満ちる美しさに
惹きこまれていく。



すると
膨大に 目の前が広がり 見えてきた。


ひと口 紅茶を飲み
思った。




どの生徒さんの曲も
弾いていこう。


膨大さに すくんでいる場合じゃない。


昨日よりも今日、
曲を愛そう。



弾きながら
生徒さんに
感謝が湧いてくる。



生徒さんの曲を弾くことを通して
生徒さんを愛することができることに。



しばらく弾いていた
その時、
焼きあがりのオーブンの音がなった。




遅いランチ。

テニスからぺこぺこで帰ってくる主人。

さあ、キッチンに立とう!