さいたまの 昨晩は
強い風が吹き続けた。
庭の薔薇の剪定をした。
年を取り
太く硬くなった幹を
ゆっくり切り落とした。
幹は痛むだろうか。
ごめんね。
おつかれさま。
そう つぶやきながら
切っていった。
痛みを伴うけれども
大切なこと がある
と
齢40を超えると
わかってきたこともある。
しかし
痛む。
あたたかい ひかりの差し込む
南の部屋で
本を読んで過ごした
昼下がり。
庭へでるのが
夕刻近くなってしまった。
剪定作業は
思いのほか
時間がかかることを思い出した。
結局
半分くらい進んだところで
枝もフェンスも区別がつかないほど
暗闇になっていた。
それだから、
切り落とした枝や葉
幹を
地面に揃えて 置き
袋に束ね入れるのは
朝にしようと
かじかんだ手を
手袋の上からこすりながら
リビングへ帰った。
夜のこと。
ビュウ ビュウ
外で 低く うなる声がする。
かぜだった。
窓を ゆらし
何かと 吹き合う
男性的な 声に ぶるっとした。
薔薇のトゲのある枝が
飛んではいないか。
厚いブルゾンを羽織り
湯上りの身体を冷やさないように
暗闇の庭へ行った。
枝や幹は
トゲ同士が重なり合い
塊で 横に動くだけだった。
安心したが、
万が一を思い
テラコッタを
その束の上に置き
重石として
中へ入った。
布団に入りながら
風を聴いていた。
どこから 吹くのだろう。
どこへ 向かうのだろう。
風は
どこから 吹き
どこへ 行くのか は
誰も知らない。
この詩を思い出した。
今
朝の10時。
ショパンのバラード4番を弾きながら
昨晩の風を感じた。
この響きはどこへ行くのだろう。
わたしの息は
音となる。
そして
それはどこへ向かうのだろう。
あたたかい
陽射しの中で
一杯のコーヒーを飲みながら
音楽の響きが
風と 共鳴し
わたしも
風の一部であるかのように
感じた。
さあ、でかけよう。
風の中を
ぐんぐん歩みゆく
力ある
プティと共に。
しっぽを 扇風機のように振り
口の角を
笑っているように上げている。
待って 待っていた
外の探検へ
彼の
1番好きな時間。
喜んで
わたしも伴おう!
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