「これ、わたし かいたの。」
「これも、わたしが かいたの」
幼稚園の女の子は
うれしそうに話してくれます。
わたしが語る前から
「せんせい、ひいていい?」
と。
弾くことが嬉しいのです。
一曲弾いて、
ページをめくって、また弾いて、
おうちでも、
きっと こうやって弾いているんだな、と
目に浮かびます。
この姿を見て
どんなにお母さまは お嬉しいだろう、
と思うのです。
昨日から
クリスマスソングを
毎回、少しずつ歌うことを始めました。
歌詞カードをあげました。
ゆっくり 読んでいます。
すると こう言いました。
「わたし、これと これ、しってる!」
ひととおり歌ったころ、
お迎えのお母様が
車を留めて
入ってこられました。
宿題の確認をしてさよならする時、
この子は言いました。
「わたし、かぞくに おしえてあげるね!」
「ありがとうございます。
ほんとうに、
ありがとうございます。」
お母さまの丁寧なご挨拶は、
娘のよろこびを自分のよろこびとする
やさしさそのものでした。
みみちゃん。
練習が
自分の楽しみになっているのだなあ。
すごいなあ、と思います。
宿題以上をしちゃって、
あっという間に
両手で弾けるようになった
ホワイトクリスマス。
「他にもクリスマスの曲弾きたい?」
と聞くと、
「うん」
と答えました。
クリスマスの曲集をめくりながら、
ダイジェストで
歌って聞かせてあげました。
16曲のち、
「どれがいいい?」
と聞くと、
「これがいい!」と、曲名を答えました。
次回から新しい曲も加わります。
みみちゃんのお姉ちゃんも
黙々と集中して
たくさん弾き続けました。
美しいです。
ほんとうに。
無心になる姿。
自分の内面から直接 指から
紡ぎだされる音。
また、他の生徒さん達も
みんなみんな
素晴らしいです。
させられているからではなく
自らする練習だから
集中度が深いのです。
練習中ですから
当然、間違えたりも とまったりも
もちろん たくさんあります。
しかし、そこで 声をかけてはいけない。
自分で楽譜をじっと見て 、
理解して、
再び弾き続けるのですから。
横にいて
その姿を静かに信じて見守ります。
誰がいても
誰が聴いていても、
自分の今していることを
自分の力で しきっていく。
きっと
毎週のこの体験は
「自分でやる、と決めたことは
出来る、と信じてコツコツする」
という、
自己信頼が育っていくでしょう。
みんな
ピアノは日常の一部にしか過ぎません。
でも
その一部のピアノとの関わりが
幸せであるなら。
ピアノの力だけではなく
自分を信じる力。
また、
空間に安心して身を委ねることが出来、
先生に信頼されている、と感じる体験は、
きっと
日常の多くの場面で、
自ら感じて、考えて、
そして1番の最善を選び
対処して歩んでいく力になる、
と、わたしは信じています。
そして
このような こどもの姿は、
こどもの幸せを願い
毎日毎日、伴い、
見守るお母さまの幸せにも
きっと繋がっている、と思うのです。
こどもも 大人も
ひとはみんな
よろこびを生み出して
こころ豊かに過ごす可能性を宿しています。
その「たからもの」
に気づけるひとは幸せ。
ご立派に生徒さん達をご指導されている
素敵なピアノの先生も、
この者のレッスンを慕って
他県から足を運んでくださることに
心から感謝です。
先生ご自身にも、
また大切な生徒様にも
音のよろこびが益々流れますように。